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■研修の仕事と食育■



プライベートの時間に仕事のことを考えるのが嫌いな遊々は、このホームページでも仕事の話は書きません。でも今回は違います。

食育の活動をしていると、過去にした仕事がとても役に立っていると思えるときがあります。まるで、食育をするために、職歴を積み重ねて来たような気になります(*1)。

それは、こんなお話。


20代後半のころから5年間、職員研修の仕事をしていました。研修の企画や運営をする仕事です。講師つまり教授系ではなく教務系の仕事でした。

扱う研修は新人から幹部職員まで。まだ役職に就いていないときですので、通常の研修では単なるお世話係のような感じです。これが新人職員の研修だと、担当者というより「担任の先生」というニュアンスの方が強く、社会人一年生にいかに基礎的な知識や社会常識を身につけてもらい、スムーズに仕事場に送り出すかということに腐心していました。学生気分が抜けない人には、時には厳しく叱責をすることもありました。

このような経験が食育で生きることは二つあります。一つは人前で話すこと。研修を担当していると、毎日教壇に立って話す機会がありますし、新人研修では講義を担当することもあります。

大勢の人相手に話すにはそれなりの準備が必要です。担当者となってから、最初に人前で話すのは研修初日のオリエンテーション(*2)ですが、まずは先輩が実際に行っているところを見て、詳細なメモを取ります。それを見ながら、何回もイメージトレーニングをして、自分なりにマニュアルを作り、実際に行う1週間くらい前に、先輩たちに受講者役になってもらい、シミュレーションを行います(*3)。そこでは、教室への入り方、目線の使い方に始まって、話す速度、声の調子、板書の仕方まで指摘され、直るまで何回もやり直しさせられます。

こうした厳しい指導と、自分なりの工夫、そして実践の積み重ねによって、次第に人前で話す技術が身についていきます。このおかげで今でも人前で話すことには、何の苦痛も感じません(*4)。

親子料理教室の講師をしたり、講演会で食育について話すときにも、この経験がとても役に立っています。何百人を前にしても、決してアガることはなく、その場の雰囲気に合わせて話すことができます。

もう一つは企画力。当時、研修のカリキュラムを考えるのは最も重要な仕事でした。他のスタッフと何日何日も昼夜議論をして年間の計画を作っていきます。今の職業に就いて30数年になりますが、あの時期ほど物事を突き詰めて、理論的に考えたことはありません。何しろ「職員の能力とは何か」などということを、平気で議論していくのですから。研修の科目って、一見何気なく並んでいるように見えますが、その裏にはスタッフの緻密な理論構築があるものなのです。

社会人教育である研修と食育は、内容は違っても教えるということは共通しています。遊々の食育は、誰かに教えられたものではなく、自分なりに研究して作ったものです(*5)。大きな特徴である味覚教育も、独自に理論構成をして組み立てました(*6)。研修を担当していたときの、発想力やそれをまとめる企画力があったからこそ、新しいものを作り出すことができたと思っています。

過去は自分の生きた証し(*7)。それだけに、得た経験を未来に生かしていくことがとても大事なのだと思います。

食育を始めてから4年が過ぎました。質量ともに着実に充実してきたと思います。最近、もう一歩、子どもに教える技術あればと思うことがあります。新たな勉強を始める時期に来ているのかもしれません。


*1 ちょっと運命論的ですね。

*2 当時の研修は1コース4〜5日。オリエンテーションも結構長くて、大体40分くらい話していました。

*3 これを研修用語で、ロールプレイイング(役割演技法)と呼んでいました。

*4 むしろ好きかも♪

*5 もともと食育を始めようと思った入り口が、服部幸應さんの講演会とスローフードでした。行政機関の食育に多い栄養教育ベースのものではないので、こうなったのかもしれません。唯一お手本にしたのは、小浜市のキッズキッチンですが、これも食育教室の構想を立ててから見学に行き、実践的な部分を参考にさせていただきました。

*6 その後フランスのピュイゼ・メソッドを発見して、発想の共通点に驚きました。

*7 すみません、この間見た「コード・ブルー」のセリフをパクりました。 



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