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■フランスの食育■



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2007年2月、光塩学園女子短期大学の新校舎落成記念講演会に行ってきました。

数日前に、K先生からメールがあって、「フランスの食育についての講演があるので行きませんか?」とのこと。フランスの食育には前から興味があったので、二つ返事でOK。

午前10時30分からの講演会。真新しい校舎に入り、8階へ。窓から山々が見渡せる明るい階段教室で、150人の参加者を前に講演が始まります。
講師は、光塩学園の姉妹校、フランス国立調理師専門学校シャトー・デ・クードレィ校の元校長ヨランド・ボロンダ女史と、その息子さんで、幼稚園教諭を経て現在小学校教諭のステファン・ボランダ氏。ヨランドさんは栄養士です。
最初に、ステファンさんから、フランスの幼稚園と小学校の教育制度や学校での子どもたちのようすが紹介されました。その後、ヨランドさんにバトンタッチ。学校給食の話が始まります。
フランスの学校給食は、自由参加方式で、半数の子どもが給食をとっています。残りの半分は家に帰って食べます。
給食はとても大切にされていて、バランスのとれた献立にするために、調理長、栄養士、そして学校医も参加して決めます。こうして決められた献立は、学校の前に張り出されます。これは、保護者がそれを見て、家の食事の参考にするため。

フランスでも子どもの肥満は問題になっていて、ヨランダさんはその原因を@清涼飲料水、Aスナック菓子、Bテレビゲーム漬け(運動不足)と話していました。
こうした乱れた食生活が多い中で、給食は唯一バランスのとれた食事となっているそうです。

フランスの給食のもう一つの特徴は、給食専属の職員がいること。幼稚園は10人に1人、小学校は20〜25人に1人の割合で配置されていて、子どもたちに食事のマナーとルールを教えます。こうした指導があるので、食べ残しは少ないそうです。
給食でいろいろな物を食べ、さまざまな味を覚えさせることも教育の一環。子どもたちが嫌う食べ物は、食わず嫌いであることが多く、給食で経験することで幅が広がると話していました。

この講演を聞いた後、フランスの食育について少し調べてみました。
フランスの食育の特徴は、なんといっても味覚教育。味覚教育のためのプログラムがあるんです。

それは「味覚の目覚め」といって、1時間半の授業を10回行うコース。開発者であるジャック・ピュイゼ氏の名前を取って「ピュイゼ・メソッド」(*1)と呼ばれています。

ピュイゼ・メソッドを簡単に紹介してみます。(*2)
1回目は「五感」、2回目は「4つの基本味」、3回目は「ひとつの食事を考えて作ること」、4回目は「嗅覚」、5回目は「視覚」、6回目は「触覚」、7回目は「味覚を妨害するもの」、8回目は「各地方の料理」、9回目は「これまでのまとめ」、そして最後の10回目に、地元レストランの協力により、最高級の美食を味わい、そこで子どもたちに卒業証書を渡します。

授業は、いろいろな食材を使ったティスティングテストを中心に進められます。「おいしい教室」の「味の教室」をすごく複雑したようなもの。もちろん、もっと厳密で効果がでるように作られています。

ピュイゼ・メソッドにもとづく「味覚の授業」は、現在、フランス全土で行われていて、1990年から毎年10月の第3週に全土をあげて行われる「味覚の週間」の初日を飾るイベントにまでなっています。

ピュイゼ・メソッドの特徴は、「五感のすべてが味覚を構成している」という考え方に基づいて、これを育てることに特化しています。決して、栄養素の話はしません。ピュイゼ氏はその著書で「健康についての議論や、栄養バランスについては、小児科医や栄養学者にお任せします。私たちの目標はもっとデリケートな問題にあります」と書いています。
このプログラムは、いろいろな食材を子どもに経験してもらい、子どもみずからが進んでよい食品を選択していくように作られています。嫌いな物を無理矢理食べさせることもしない。逆効果だということがわかっているからです。



*1 「子どもの味覚を育てる〜ピュイゼ・メソッド〜」(紀伊國屋書店刊、ジャック・ピュイゼ著)に詳しい。

*2 現在は、12回のコースになっています。



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