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■おでんと机の上の関係■



「エントロピー増大の法則」とは、「閉じた系でエントロピーは増大する」というものです。「閉じた系」とは、完全に遮断された空間。その中では、時間とともにでたらめさ、複雑さが大きくなります。

エントロピー小 エントロピー中 エントロピー大
<1図> <2図> <3図>

上の図は、水の中の赤インクと黒インクです(前提として、この空間は、外部から完全に遮断されているものとします)。

1図では、赤い水と黒い水の間に仕切りがあります。


この仕切りを取ると、インクの分子の運動により、混ざり合い始めます。それが図2。

さらに時間がたつと、でたらめさが大きくなり、図3では混ざり合った状態になります。これが「エントロピー増大の法則」。エントロピーは、必ず小から大へと変化し、その逆は起こりません。混ざり合った赤インクと黒インクは、元の分離した状態には戻らないのです。

「片づけないと、机の上は次第に散らかっていく」のは、エントロピーをわかりやすく説明した例(*1)。

さてさて、ようやく料理の話になります。この赤いインクと黒いインクを、0度の水と100度のお湯に置き換えたらどうなるでしょうか。

図1では、完全に分離していた水とお湯が、図2では混ざり始め、図3ではエントロピーが大きくなり、混ざり合います。最終的には50度になります。

次に、おでんの大根に味がしみる原理です。

おでんを煮てから、火を止め、閉じた系にする(*2)。このとき、エントロピーは小さい状態。
     ↓
冷め出す。分子の運動が始まって、エントロピーが徐々に大きくなる。
     ↓
完全に冷める。エントロピーは最大になる。分子レベルで味がしみ込む。

分子の運動は、熱エネルギーが大きいほど活発になりますので、熱いおでんの汁が大根の中にしみ込むのです。

これもエントロピーのおかげ

スープカレーを1晩寝かせると味がなじんだことや、ローストビーフをオーブンからおろしてアルミホイルで包んで寝かせておくと、中まで熱が通ってきれいなロゼ色になることも、エントロピーが大きくなるからです。すべては分子レベルで起こっていることなのです。

あなたは、この話、信じますか?


*1 実は、この例は、エントロピーとは関係ありませんが、ある一面では的確にエントロピーを説明しています。何も知らない人にこう説明すると、大体理解してくれます。

*2 実際には、全然閉じていなくて、鍋の上も開いているし、横からも熱は逃げますが、強引に閉じていることにしちゃいます。



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