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■フュメ・ド・ポワソンの実力■



調理師学校に入学したときに、一番もの珍しかったのがフランス料理。なぜって? それまで、フランス料理といえばホテルの宴会で食べたことしかなくて、作るところを見るのは初めてでした。

最初に習うのはフォン(*1)の作り方。フォン・ド・ボー(*2)、ブイヨン・ド・ボライユ(*3)ときて、最後に習うのが魚から取るフュメ・ド・ポワソンでした。でもその時は、先生のデモンストレーションを見るだけに終わり、ふーんこんなものか、という印象。学校ではこのフォンを使って料理することは、あまりありませんでした。

自宅で食事会をするようになって、一度だけ自分でひいた(*4)ことがありましたが、いつしか缶詰を使うようになりました。

この間、食事会をしたときに、珍しく他のフォンを使わないメニューだったので、缶詰ではなく自分でフュメ・ド・ポワソンをひくことにしました。そのときは、何気なくという感じだったのですが、感動モノの経験をすることになりました。

フュメ・ド・ポワソンの作り方は、割と簡単。魚のアラを2匹分くらい用意し、水に浸けて半日くらい血抜きをします。これを寸胴に入れて、ひたひたの水を入れ、強火で煮立たせてアクを取ります。これに、エシャロット、玉ネギ、ポロネギのスライスとセロリ、ローリエ、タイム、その他の香草を入れて、弱火で30分煮出し、これを漉せば出来上がり。

鶏からとるフォンのように半日煮込むこともなく、短時間で作れます。この日は、連子鯛とヒラメのアラでひきました。作ってすぐ味見をしてみると、なめらかで、優しい味。缶詰のようにうま味調味料の味もせず(当たり前か)、とってもいい感じの仕上がりです。

食事会で作ったスープ 陶酔・・・


これでスープを作りました。生のヒラメと野菜のジュリエンヌをさっと湯がいたものをスープ皿に入れて、薄味をつけた熱々のフュメ・ド・ポワソンを注ぐと、生のヒラメが半生状になります。

魚や野菜と一緒になると、フォンが一層引き立って、得も言われぬ味わいになりました。まったく魚くささがなくて、甘さ、まろやかさ、そして陶酔・・・。お客様も満足してくれたようです。

カジュアルなお店では、明らかに缶詰のフュメ・ド・ポワソンを使ったと思われるスープが出てくることがあります。それが当たり前と思っていたのですが、これだけ実力のあるフォンなら、これからはやっぱり手作りしかないのでしょうね。


*1 出汁(だし)のこと。

*2 仔牛の骨からとる出汁。

*3 鶏ガラからとる出汁。

*4 出汁をとるとは言わず、「ひく」と言います。



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