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■塩の力、水の力■



料理をしていてつくづく思うのは、下ごしらえが大切ということ。魚をさばく、湯がく、下味をつけるなど、こまごまとした作業の一つひとつに意味があり、それが出来上がりに大きく影響します。下ごしらえがきちんと出来てこそ、完成度の高い料理が出来るのです。このへんが、家庭料理と違うところです。

下ごしらえをするときに欠かせないのが、塩と水の役割。食べただけではどう使っているのか想像できない、塩と水を使った料理人の技をご紹介します。


塩は精製塩(*1)と自然塩(*2)とに大別されます。遊々家のキッチンには、この2つの塩が常備してあります。味付けをするときは自然塩、味に関係ない作業には安価な精製塩という使い分けをしています。

味に関係ないのに塩を使うの? 当然の疑問です。でも、これが使うんです。

例えば、カレイのぬめり。魚体に塩をまぶしてからもむようにこすり、水で洗い流すとあっという間に、あのぬるぬるが取れてしまいます。このときは、たっぷり塩を使うので、安価な精製塩。

もう一つはこんな使い方。ホタテなどの貝殻を容器に使って盛り付けるときに、それを皿に置くといかにも座りが悪い。こんなときには、塩に卵白を加えて立てたもの(*3)を土台にします。盛りつけの補助剤としての使い方。これを食べる訳ではない(*4)ので、精製塩で十分です。

ホタテの下には練り塩が


自然塩の使い方は多彩です。


まずは下味。材料を焼く、あぶる、揚げるときに、軽く塩分を含ませておきます。こうして、本来の味付けのベースにします。エビチリ、牛肉のソテーなど、幅広い料理に使われます。下味がなければ、食べたときにぼやけた味になってしましいます。

日本料理では、魚を焼いたり、霜降りにする前に、さっと塩を振ります(*5)。少し置くと、浸透圧で身から水分が出てきます。これを水で洗います(霜降りの場合はお湯をかけます)。こうすると、水分が抜けて、味が入りやすくなるとともに、魚の臭みが抜けます。

麻婆豆腐を作るとき、塩をひとつまみ入れたお湯で豆腐を下ゆでしておくと、崩れにくくなります。これも塩の力。

こんな話を書いていると、本当に塩って偉いと思ってしまいます。


水の役割は、食材の温度を変えること。下煮をしたり、冷水に落として急激に温度を下げます。

青菜をさっと湯がいて、緑色を鮮やか出して、冷水に落として色止めをする。自然に冷ますと、色がどんどん落ちていきますが、急激に冷ますとそこで色落ちが止まります。

トマトの湯むきをするときに、さっと湯がいたトマトを冷水に落とすと、表面と内部の温度差で、皮がよれてむきやすくなります。

ゼラチンで寄せ物を作るときに、常温では固まらないので、冷蔵庫に入れますが、その前にボウルの底に氷水を張ったボウルに当てて、少し固まり始めるまで温度を下げます。温かいままで冷蔵庫に入れると、庫内の温度を上げてしまいますが、こうすると他の食材に影響を及ぼしません。

蕎麦をゆでて、冷水で洗って、最後に氷水できゅっと麺を締めるということもします。あののどごしは、こうして生まれるのです。

ところで、煮汁が入っている鍋を、冷水が入っているボウルに載せて、温度を下げるということをしますが、その時氷水を使うか、冷たい水を使うのか?

遊々は、冷水(冷たい水道水)に当てて、ぬるくなったら水を取り替えるということを何度かやってから、氷水を当てるという方法をとっています。いきなり氷水に当てると、氷は溶けるけど鍋の温度が下がらないような気がします。単なる冷水に当てて、対流によって常温くらいまで下げてから、氷水を使った方が短時間に温度が下がるような気がするのですが、皆さんはどうやっていますか。

塩と水のマジック、いかがでしたか。こうしてみると、浸透圧、温度差、対流などをうまく利用していますね。料理は科学ということが理解いただけたのではないしょうか。


*1  海水を原料とした天日塩からを精製して、微量ミネラルなどを取り除いた塩。塩化ナトリウム99.9パーセント。

*2 岩塩、完全天日塩、平釜塩など。塩化ナトリウムの他にミネラルなどを含みます。

*3 メレンゲの砂糖を、塩に変えたもの。練り塩と言います。

*4 よく「何で出来ているんですか」、「食べられますか」と聞かれますけど。

*5 尺塩(しゃくじお)といって、30cmくらいの高さから振ります。



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