料理遊々
料理遊々トップページ料理のこと>ワインの迷宮



TOP

料理のこと

食事会

味の話

食育

陶芸修行

おすすめレシピ

店主プロフィール

LINK


掲示板

料理のこと

■ワインの迷宮■



「先生、ミネラル感って何ですか? ミネラルって言ってもたくさんあると思うんですが、何の味ですか?」
「スパイシーな香りって、何のスパイスですか?」
・・・遊々の質問は、まるで子ども電話相談室みたい。

ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、コート・デュ・ローヌ、アルザス、ロワール、ラングドック、ルーション、プロバンス・・・。
2009年4月から通い出したワインスクール。4カ月が過ぎて、ようやくフランスの主要なワイン産地が終わり、イタリアを始めとする他の国々へ。

ワインスクールの授業は、毎回2時間。前半1時間は講義、後半は毎回6銘柄くらいのテイスティング。遊々にとっては、これが難関です。最初は皆さんが使っている言葉がわかりませんでした。それで、冒頭の子どものような質問になるのです。

ワインに関しては、まったくの初心者である遊々。ワインを学ぼうと思った動機は、料理の教養科目(*1)としてでした。現在通っているSTEP1(*2)の生徒は17人。当たり前のことですが、皆さんワインが好きで、ワインを勉強しようと思って来ています。本業(?)が料理で、周辺科目として習いに来てる遊々とは、持っている知識と意気込みが違います。

STEP1の期間は半年間。その終わりが見えて来た今、改めてワインを考えてみると、う~ん奥が深い・・・。回を重ねるたびに、迷宮に入って行くような気持ちになります。シャトー、テロワール、ドメーヌ、ネゴシアン、AOC法、新樽比率、瓶熟成、エトセトラ、エトセトラ(*3)・・・。聞き慣れないワイン用語のオンパレードに戸惑う日々でした。

ぶどう品種も複雑。白ならシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデ、リースリング。赤ならカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、シラー、ガメイと主要品種の特徴を憶えるのだけでも大変。しかも、知識としてではなく、色調、香り、味を経験して記憶に蓄積していくのです。

テイスティングに使うワインは、価格帯も千円台から8千円台までと多彩です。高い物がおいしいかというとそうでもありません。そこは好みの世界。今までに、60以上の銘柄をテイスティングしましたが、最近ようやく「あ、おいしい」と感じられる回数が増えてきました(*4)。少しずつワインの嗜好が固まって来たのでしょうか。

そういえば、いまだに理解できないのがこのワインの価格というもの。出荷時の価格(*5)で1本数百円から数百万円まで。小さじ1杯1万円という物もあります。これって妥当?

講師のN先生曰く「高い物は、よい畑で、手摘みをしたり、新樽で長期間熟成させたり、出荷するまでコストがかかっているけれど、それだけで価格は決定しない。ロマネ・コンティが1本150万円するのは、買う人がいるから」。そうワインの価格は市場原理で決まるんです。

ワイングラス
ワイングラスから聞こえる物語


料理を学ぶことと、ワインを学ぶことの違いは何でしょうか。

料理は、食材やその生産地、調理法、盛りつけなどを学び、その成果をもとに料理を作ります。つまり、学ぶことと実践することがシンクロしているのです。

これに対してワインは、料理と同じように様々なことを学びますが、学習者である我々は決してワインを製造することはありません。学んだことを知識として蓄えて、それを手がかりにワインを味わいます。これを料理になぞらえると、客がフランス料理の作り方を勉強するようなもの。ここが遊々が戸惑っている原因なのでしょう。

そしてワインの世界は、ぶどう品種、産地、生産者、生産年など、複数の要素が縦糸と横糸の関係になっていて、それらが複雑に折り重なって広大な地図を描いています。ワインは、醸造学であると同時に、歴史であり、関わる人たち情熱なのです。これが迷宮の正体。

静かな夜にお気に入りのワインをグラスに注ぐ。その一杯に秘められた、幾多の人々があやなす物語に、どこまで耳を傾けることができるのでしょうか。


*1 陶芸、お花、テーブルコーディネートなどと同じようなものと考えていました。

*2 初心者から中級者向けのSTEP1、中級者以上が対象のSTEP2、日本ソムリエ協会資格試験受験講座、研究コースの4コースがあります。

*3 すみません。解説は省略します。ワイン好きの方なら意味がわかると思います。

*4 増えたといっても、2回(12銘柄中)で1銘柄くらい。値段が高くても、受け入れられないワインもあります。

*5 出荷後に年月を経て、プレミアがついた価格ではない。



 戻る コンテンツのトップへ 次へ