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■仕込み酒その2・戸惑うオーダー■



営業開始直前、T子ママがやってきました。
「きょう魚屋に行ったら、タコのいいのがあったので買ってきたんだー。一つあげる」

見ると、ミズダコの太い足がひとかたまり。
「えっ、いいの?」

「うん、タコの好きなお客さん、多いからね」

食材を融通しあったり、グラスなんかも貸し借りしています。スナックTとはこんな仲です。

*   *   *   *   *


「いらっしゃいませ!」
店の入口の戸が開き、どやどやと団体客が入ってきました。時刻は9時過ぎ。

「あ、お久しぶりです。何人ですか?」
「4人」
「じゃ、カウンターへどうぞ」

席が決まり、おしぼりを出す。飲み物のオーダーを聞いて、それを出し、裏でお通しの準備をします。ここまではママの仕事。

「じゃ、2次会乾杯!」となってからが、遊々の仕事開始。

「何かお作りしますか?」
こうしてお客様からオーダーを聞いて、頭の中で作る順番を考え、食材を取り出して順番に作り始めます。

早い時間帯のお客様は、品数が多くて、しっかりとお腹に溜まるものを注文し、2軒目、3軒目のお客様となると軽いおつまみ的な物が増えてきます。

メニュー表
酒亭遊々のメニュー表
張り紙
壁には張り紙も


お客様からオーダーを受けていて、時折どきっとすることがあります。それは「何か適当にみつくろって」という場合。

「適当」と言われても、初めてのお客様だと好みが分からないし、お腹の空き具合も不明ですので、メニュー表を見ていただいて、具体的なオーダーをお聞きすることになります。お客様から見ると、無愛想に見えてしまうのでしょうが、ついついそうしてしまいます。この時は、内心ちょっとどぎまぎしていて、笑顔を忘れています(*1)。

似たような例で、料理は決まるのですが「数は適当に」という方もいます。作る側としては数がわからないと困るし、多く出しすぎても少なすぎても不満でしょうから、「すみません、いくつにしますか」と確認してしまいます(*2)。

たまにメニューにないものを注文されることがあります。

冬の間、キムチ鍋を出していたのですが、この間常連さんから「うー、寒い。湯豆腐作って」と言われ(*3)、「はい」と言ったものの、店では作ったことがないので、少しの間作り方を考えてしまいました。結局、ありあわせの食材で作ってお出ししたものの、値段をいくらにしょうかと迷いました。

別の日の話。ご夫婦で来店のお客様。店の看板メニュー、特製エビチリのエビの下ごしらえを見ていた奥様、
「エビチリもいいけど、私、エビが一番おいしいのは焼き物だと思うの。ねえ、作れない、作ってよ」

エビの焼き物というと鬼殻焼きを思い出しましたが、タレの割り(*4)がわからないので、
「すみません、塩焼きでいいですか」
とお聞きし、殻を半分ほどむいて、金串を打って焼いてお出ししました。

「うん! 塩味もちょうどいいよ」
オーダーには、こんなハプニングもあります。


この間、初めて来ていただいた8人の団体さん。
座るなり、「冷奴ちょうだい。全員に!」

冷奴は1人前、豆腐半丁で作りますので、4丁必要になります。うちの店のように小さなところでは、1つの食材を多く仕入れません。
「すみません、そんなに仕入していないので、2人で1つでいいですか」
これも戸惑ったオーダーです。

豆腐
豆腐はそんなに仕入れていません


こんなことはめったにあるものではないと思っていたら、それから少しした時に、違う団体さんから同じオーダーをされ、またまた数を減らしてもらいました。両方とも、かなりお酒が入っている方たちでした。

料理を作る側にとって、一番ありがたいのは、「きょうのお勧めは?」とか、「魚は何入っているの?」と聞いていただくこと。
「そうですねー、八角(*5)のお造りなんかいかがですか。脂がのっておいしいですよ」と勧めることができます。

遊々としては、なるべくお客様の好みに合ったものをおいしく召し上がっていただきたいので、「どんな料理ですか」とか「春巻きって、何本ですか」と細かく聞いていただき、納得してオーダーしていただいた方が、いいと思っています。

オーダーした料理が出来上がって、一口食べた途端、
「これおいしいですね。どんな作り方をしているんですか」。
料理人が一番うれしい一言です。

酒亭遊々のレシピは、秘密にしているものは何もないので(*6)、ていねいに作り方を教えちゃいます。


<番外編:今まで一番戸惑った、というか困ったオーダー>

初来店のお客様。席に着くなり、メニュー表も見ずに、
「大将! 裏メニューないの。裏メニュー出してよ!」

そ、そんなこと言ったって・・・・。


*1 この後、もっと違う対応があったんじゃないかと、いつも反省しています。

*2 最近は慣れてきて「じゃあ、3つくらいにしますか」とお聞きしています。

*3 メニューを見ていなかったので、たぶん湯豆腐があると思っていたのでしょうね。

*4 日本料理の用語。調味料の割合のこと。

*5 断面が本当に八角形をしている、細長い魚。標準和名「トクビレ」。

*6 看板料理の特製エビチリでさえも、このHPでレシピを公開しています。



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