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■仕込み酒その4・酔客万来■



日本三大歓楽街(*1)の一つであるすすきのには、4千5百の店舗がひしめき合っています。バー、スナック、クラブなどの飲み屋、寿司、そば、ラーメンなどの食べ物屋、そして風俗。その中でも酒亭遊々のような居酒屋は、一番ポピュラーな店舗といえます。

札幌にすすきのという地名がある訳ではありませんのでその範囲は曖昧。すすきの観光協会では南北は南4条の都通から南6条の間、東西は西2丁目から西6丁目の間と定めているそうですが、これより少し広い範囲をすすきのと呼んでいいのかもしれません。

最近は不況や札幌駅付近に飲食店ができた影響で、すすきの交差点(*2)から遠いビルは閑散としつつあり、すすきのは昔より狭くなった印象を受けます。

店がはねた帰り道、車と人の流れを避けながら歩いていると「あーきょうは人出がすごいな」とか「あれっ、全然人が出てないじゃん」と感じます。夏祭り、年末年始、雪まつりなど季節の節目を感じるのはこんな時。いったいすすきのでは毎日何リットルの酒が消費されているのでしょうか。

酒亭遊々もいろいろな酒を取り揃えています。ビール、日本酒、焼酎、ワインなどなど。大半のお客様にはお酒と料理を楽しんでいただいていますが、時たまお酒に飲まれちゃう方がいらっしゃいます。今回はそんな「困った子ちゃん」たちのお話。

 酒は飲むもので・・・


■「私帰る!」
男性2人、女性1人のグループでご来店。男性はママの知り合い、女性は初来店の若い方。奥のテーブル席に座りました。同僚同士のようです。席がカウンターから遠いので、どんな会話をしているのか分かりませんでした。

飲み始めて1時間くらいたったころ、女性だけがカウンターに来て「いくらですか」。

3人客で女性が1人で払うということはあまりありません。男性2人はまだ談笑しているようですので、不審に思って「もうお帰りですか」と聞くと「ええ」とちょっと憤慨気味。

ママが「お会計は、あちらの方からいただきますが・・・」というと、突然「私帰る!」と怒って出て行ってしまいました。

大慌てでママが残った2人に訊いたところ何か言い争いがあったらしく、「いっつもああなんだー」とのこと。男性2人は何事もなかったように、その後も飲んで帰りました。何か変・・・。

■「これ飲んだら帰ってね」
年に数回来店するNさん。いつも遅い時間に一人で来て、しかも泥酔状態。

カウンターに座っていただくと、立ち上がって腰に手をあてて大声で話します。夏は入口の戸を開けておくので、他の店で聞こえるほど大ボリュームです。他のお客様の迷惑になるので、そのたびに注意するのですが、効き目はありません。こんな調子なので、料理をオーダーしても食べないことが多いのです。開店したてのころは、ママの知り合いということもあり粘り強く相手をしていました。

ある時いつものようにヨレヨレ状態で来店し、苦労して帰ってもらったのですが、少したってからGちゃんママ(*3)が店の戸を開けて、
「お宅のお客さん、ふらふらになっているよ」
と教えてくれました。

どうやらいったんビルから出て、また舞い戻ってきてこのフロアをさまよっていたらしいのです。ママがあわてて飛んで行って、強引にタクシーに押し込めようとしましたが拒否し、別の店に行くと言って消えたそうです。

その日の閉店時間になって、着替えてトイレに行く途中でNさんとばったり。
「Nさん、もう閉店しましたよ」
「あぁ~、そうなのぉ~」
と言いながら強引に店に行こうとします。

「今行ったら、ママが着替えているからだめですよ」
と言っても、
「そうかぁ~、まだいいだろぉ~」
と粘ります。
冷や汗をかきながら、ようやく帰ってもらいました。

そんなことがあってから、Nさんが来るたびにママがテーブル席に誘導して、ビール1杯だけ出して、「これ飲んだら帰ってね」と言うようにしています。

Nさん、今度は早い時間に皆さんと来てくださいね。

■「だはんこき」のF子ちゃん
地方にいるアラフィフ女性のF子ちゃん。出張のたびに大人数で来てくれます。

かなりの酒好きで、飲みだしたら止まりません。そしてよく喋る。時間がたつほどにろれつが回らなくなってきます(*4)。

困るのは言い出したら聞かないこと。
「だってF子さー、○○って思うんだよね」とか「ね、F子間違ってる?」。
こんな会話が出てきたら要注意。相手が同意するまで同じ話を繰り返します。

いつも会話の中心にいないと気が済まない、相手の言うことをじっくり聞くことが苦手です。意に沿わないと泣き出すこともあります。

北海道弁で「だはんこく」(*5)とか「ごんぼほる」という言葉があります。どちらもわがまま言って引かないF子ちゃんにピッタリの表現。

まあそんな子どもっぽいところも見方によっては可愛いし、他の人に迷惑をかけるほどでもないので、いつも喜んでお相手をしています。ハイ。

*   *   *   *   *


サラリーマン時代は、飲み過ぎて記憶がなくなったことや、朝起きてお金を払ったかどうか不安になって財布の中身を調べたことがよくありました。こんな遊々ですので、酔客の皆さんに大層なことを言える訳はないのですが、酔ったお客様の相手をしていると、思いもかけないことを目の当たりにして驚くことがあります。これも水商売の醍醐味なのでしょうね。

皆さん、お酒はほどほどに飲んで、楽しいうちに帰宅しましょうね。


*1 あとの2つは、新宿歌舞伎町と福岡の中州。

*2 地下鉄南北線すすきの駅の上の交差点をこう呼びます。

*3 同じフロアのサパークラブFの若きママ。

*4 正直、遊々はろれつが回っているF子ちゃんを見たことがない。

*5 だはんこく人のことを「だはんこき」といいます。



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