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■信州旅行記・そば巡りその2■



■飯綱本店(長野市上ケ屋)
戸隠からの帰り道、ふとカーナビをのぞくと、見たことのある地形が。そう、今晩行こうと思っていたそば屋さんの近くなんです。あわててガイドブックを確認するとやっぱりそうです。一度ホテルに戻ってから、こようと思っていた飯綱地区でした。つまり、長野市街-高遠の途中にここがあったんです。戸隠に行くときは全然気がつきませんでした。

飯綱本店は、大座法師池の畔にあるドライブインのような建物。年季物の看板が煤けていて、確認するのに手間取りました。

窓側の席に座りましたが、よく晴れた昼下がりの中、池が目の前に見えます。頼んだのは十割のざる(*1)。

そばができるまで、サービスでそば団子の天ぷらと、ワラビのお浸しを出してくれました。

出てきたそばは細く短く切れているもの。口当たりがよくて、上品なつゆとマッチしていました。ひなびた雰囲気が感じのいいそばです。

飯綱本店
飯綱本店
十割のざる
十割のざる
そば団子の天ぷら
そば団子の天ぷら
店の前は大座法師池
店の前は大座法師池


■山法師(山形村唐沢そば集落)
長野市周辺(北信)から松本周辺(中信)に移動して、山形村にある唐沢そば集落を目指しました。ここ唐沢そば集落は、約500メートルの集落に9軒のそば屋が並ぶ所。この地で収穫されたそばで打つ家庭的な店が多いのです。

ここまでよかった天候は、一転雨。高速を降りてから、畑の中を目指す店(*2)まで行くと・・・。あらら。お休み。ガイドブックでは、ほぼ無休ということでしたが、運悪く休業日に当たってしまったようです。

ユーターンして、途中にあったそば屋を思い出し、急遽そこに入ることにしました。それが山法師。店の前に行くとのれんがかかっていて、ちょうど出てきたご主人に「やってますか」と聞くと「いいですよ」。

店は普通の民家。玄関から広い座敷に通され(客は遊々一人)、やまっちそばを頼みました。このそばは、ざるの上に細切りの長芋とカツオ節がのっています。「やまっち」って山形村のキャラクターなんだそうです。

やや短めのそばはしっかりとしたコシがあり、濃い目のつゆと合っていました。本当に素朴なそば屋さんでした。

やまっちそば
やまっちそば


■ますや(伊那市高遠)
最後の店は南信(県南部)の高遠。ここはぜひ来たかった店です。

話は江戸時代にまでさかのぼります。高遠藩主、保科正之は名君として知られていましたが、かなりのそば好き。ある時、高遠藩三万石から山形最上藩二十三万石に移封されます(*3)。このとき、そば文化も最上藩に受け継がれ、焼き味噌と辛味大根で食べる高遠の習慣が持ち込まれました。その後、会津藩三十二万石に移封され、その地でも同様のそば文化が花開いたのです。これが、会津に伝わる「高遠そば」。反面、ご当地の高遠では、江戸風のそばになってしまっていました。

この高遠そばを元祖の地で復活しようという機運が高まり、官民が一体となって振興に力を入れているのです。

ますやは、街外れ丘の上にあるお店。比較的新しいのでしょうか。開店間際の時間に訪れましたが、既に6分くらの入り。席についてそばを待っている間に満席になりました。人気店らしさが伺えます。

お目当ての高遠そばは、玄(外二(*4))、手ひき抜き(粗め・十割)、田舎(黒く粗め・十割)の3種類あります。1食で玄のほかにもう半量頼めるので、田舎にしました。もう一品、塩麹鴨もオーダーしました。酒が飲みたいところですが、車なので我慢、我慢。

そばを頼むと、しゃもじに盛られた焼き味噌とつゆが出てきます。味噌を半分ほど小鉢に入れて、つゆで溶きながら待つのがこの店のスタイル。

ますや
ますや
最初にこれが出てきます
最初にこれが出てきます
焼き味噌をつゆで溶いて
焼き味噌をつゆで溶いて


最初に出てくるのが玄。やや白っぽい中に黒い点が入っている麺。信州のそばは短めのものが多いのですが、これはしっかり長さが出ています。このあたりは、江戸そばの影響でしょうか。つゆに辛味大根を混ぜていただくと、野趣あふれる味に感激! ジス・イズ・高遠そば。

玄をおいしくいただいたころ、田舎が運ばれてきました。こういうタイミングにも脱帽です。

田舎は本当に黒いそば。今まで見た中では一番黒いかも。そして太い。太打ちなので、当然短い。すするというよりは、噛んで食べるそばです。「塩で召し上がってください」と自然塩(*5)がついていました。麺に少しだけつけて、噛めば噛むほど純粋なそばの香りが口いっぱいにあふれてきます。辛汁につけても美味でした。

もう一つ頼んだ塩麹鴨は、柔らかくてジューシー。こちらも本当においしかった。

玄
田舎
田舎
田舎につける塩
田舎につける塩
塩麹鴨
 塩麹鴨


帰りがけに会計をしてくれた女性に「ご馳走さまでした。とってもおいしかったです」と声をかけると、「そう言っていただけると励みになります」とのこと。接客もとってもよくて、うずら家と並んで今回ベストのお店でした。

*   *   *   *   *


長野県は全国有数のそば処。今回の旅行では、その中から興味深い店をピックアップして訪問しました。

感じたことは、本当に信州のそばはすごいということ。北海道もそば粉の産地としては有名ですが、土地ごとに独特のそばがあるということは、あまり感じられません。これに対して長野県は、そば屋の数(*6)、いろいろなタイプのご当地そば、そして古くから息づくそば文化など、どれを取っても抜きん出ていると思うのです。


*1 二八より200円高くて980円。

*2 「水舎」というお店に行く予定でした。

*3 国替えのこと。この場合は石高が上がるので出世。

*4 外二(そとに)は、そば粉10に対してつなぎ2の割合。二八は、そば粉8に対してつなぎ2。

*5 岩塩、それとも藻塩でしょうか。わずかに茶色がかっている。

*6 街を歩くとそば屋の数が多くてびっくり!



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